ニュージーランド移住者は、現地で社会保障サービスを受けたり、保険に加入したりできるのでしょうか?この記事で、その種類と対象者を紹介します。
社会保障と保険
まずは、社会保障と保険について、考えていきます。
社会保障=所得保障と公的サービス給付(医療・介護・年金など)
社会保障は、社会において、公的機関から、失業したときに最低限の収入を保障してもらったり、医療や介護などのサービスを提供してもらったりする制度です。その財源として、税金や保険料が徴収されます。
保険
事故・災害や疾病などによる損失に対する金銭給付
保険は、公的機関や保険会社が保険加入者から保険料を集め、その加入者たちが事故・災害や疾病により経済的損失を被ったときに、保険金を給付する制度です。
公的保険=社会保険
公的保険は、社会保障の一つとして、国や地方公共団体によって運営され、社会保険とも呼ばれます。保険の種類によって、労働者・雇用主や市民が、保険料を払います。日本においては、5種類の公的保険(医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険)があります。
私的保険=民間保険
私的保険は、保険会社や共済組合などによって運営され、民間保険とも呼ばれます。保険の種類によって、顧客である個人や企業が保険料を払います。日本においては、生命保険と損害保険(火災・自動車・傷害・医療・介護・家財・ペット・海上など)があります。
ニュージーランドの社会保障
ここから、ニュージーランドの社会保障制度について、考えていきましょう。
公的医療サービス=国民健康保険ではない
ニュージーランドには、社会保険としての国民健康保険はありません。公的医療サービスは、税金を財源として、以下の人たちに、給付されています。
- New Zealand Resident Class Visa Holders
- New Zealand citizens (including those from the Cook Islands, Niue or Tokelau)
- Australian citizen or permanent resident who has lived, or intends to live, in New Zealand for two years or more
- Work visa holder eligible to be in New Zealand for two years or more
- People aged 17 years or younger, in the care and control of an eligible parent, legal guardian, adopting parent or person applying to be their legal guardian
- Interim visa holders
- New Zealand Aid Programme student receiving Official Development Assistance (ODA) funding
- Commonwealth scholarship students
- Foreign language teaching assistant
- Refugees and protected persons, applicants and appeallants for refugee and protection status, and victims of people trafficking offences
これらに該当しないビザステータスの人(留学生や旅行者など)は、病気や怪我の治療のために医療サービスを受ける場合、実費を支払う必要があります。
事故補償保険=The Accident Compensation Corporation Scheme[ACC]
こちらは、日本の労災保険に似ていますが、職場だけではなく、ニュージーランド国内のあらゆる事故を、保険金給付対象としています。事故による怪我や後遺症に対して保険金を給付してくれますが、病気や加齢による健康状態の悪化などは対象となりません。
また、市民や永住者だけではなく、あらゆるビザステータスの人(留学生や旅行者など)を対象としています。しかし、その保険料は、雇用主たちが支払っています。
失業手当や就職支援=雇用保険ではない
ニュージーランドには、社会保険としての雇用保険はありません。失業手当や就職支援サービスは、税金を財源として、市民や永住者に給付されています。
年金=国民年金保険ではない
ニュージーランドには、社会保険としての国民年金保険はありません。年金の支給は、税金を財源として、以下の人たちに給付されています。
You may qualify for NZ Super if you:
- are 65 or over
- either:
- are a New Zealand citizen
- are a permanent resident, or
- hold a residence class visa
- are ordinarily resident in New Zealand, the Cook Islands, Niue or Tokelau when you apply
- have lived in New Zealand for at least 10 years since you turned 20
- have lived in New Zealand, the Cook Islands, Niue or Tokelau (or a combination of these) for at least 5 years since you turned 50.
介護サービス
ニュージーランドには、社会保険としての介護保険はありません。介護サービスは、税金を財源として、以下の人たちに、給付されています。
- New Zealand Resident Class Visa Holders
- New Zealand citizens (including those from the Cook Islands, Niue or Tokelau)
- Australian citizen or permanent resident who has lived, or intends to live, in New Zealand for two years or more
- Work visa holder eligible to be in New Zealand for two years or more
- People aged 17 years or younger, in the care and control of an eligible parent, legal guardian, adopting parent or person applying to be their legal guardian
- Interim visa holders
- New Zealand Aid Programme student receiving Official Development Assistance (ODA) funding
- Commonwealth scholarship students
- Foreign language teaching assistant
- Refugees and protected persons, applicants and appeallants for refugee and protection status, and victims of people trafficking offences
これらに該当しないビザステータスの人(留学生や旅行者など)は、介護サービスを受ける場合、実費を支払う必要があります。
ニュージーランドの私的保険
日本と同様に、ニュージーランドにおいても、民間保険会社による保険商品が数多く販売されています。
- 生命保険
- 医療保険
- 収入保険
- 旅行保険
- 移住保険
- 自動車保険
- 住宅保険
- 家財保険
- 災害保険
- ペット保険
ビザステータス(市民、永住者、留学生、旅行者など)によって、加入できる保険の種類やプランが変わりますので、注意が必要です。例えば、2年以上のワークビザ保持者は公的医療サービスが無料で給付され、民間の健康保険に加入することができます。
しかし、2年未満のワークビザ保持者は、公的医療サービスが全額自己負担となり、民間の健康保険に加入できません。この場合、旅行保険に加入することで、怪我や病気に備えることが必要です。
まとめ
ニュージーランド移住者は、そのビザステータス(Permanent Resident, Resident, Work, Student, Visitor Visa)によって、社会保障サービス(医療、事故補償、失業手当・就職支援、年金、介護)が給付されたり、保険(生命・医療・収入・旅行・移住・自動車・住宅・家財・災害・ペット)に加入したりできます。自分のビザステータスにおいて、どのサービスが給付され、どの保険に加入できるのかを理解することが必要です。
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