ニュージーランドでは、人々がどのように働いているのでしょうか?この記事で、日本の働き方改革への参考となるように、その勤労観と雇用条件について、ご紹介します。
ニュージーランドの勤労観
まず、ニュージーランドにおける勤労観をご紹介します。
ワーク・ライフ・バランス
まず、ニュージーランドにおいて、ワーク・ライフ・バランスは、雇用主にとっても、労働者にとっても、重要な概念と言われています。
ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と生活の調和と訳されます。労働者にとって、心身の健康を保ち、働き過ぎによる過労死や自殺を防ぐために必要とされる概念です。また、雇用主にとっても、労働者が、安全性、品質、生産性を保ち、会社の利益を高めるために、この概念は必要です。
柔軟な働き方
また、ニュージーランドにおいて、雇用者は、雇用主に対して、柔軟な働き方(flexible working)を相談することができます。これは、雇用者に合ったワーク・ライフ・バランスを実現するために必要だからです。具体的には、勤務時間、勤務日数、勤務地から、仕事のやり方、勤務時間管理や雇用者の労働管理にまで、雇用主の許可を得て、雇用者の働き方を柔軟に変えることができます。
ニュージーランドの健康安全管理
また、ニュージーランドにおいて、職場健康安全法が、労働者や取引業者に対して適用されます。これは、職場において、健康と安全を脅かす脅威から、労働者を含む全ての人を守ることを求める法律です。
これにより、雇用主は、雇用者の安全と健康が保たれるように、職場環境や業務内容を考える必要があります。労働者は、自らや顧客の安全と健康が守られるように、働く必要があります。
ニュージーランドの企業規模
さらに、ニュージーランドにおいて、企業の平均従業員数は14名で、日本の7割、アメリカ合衆国の半分です。中小企業(従業員数20名以下の企業)が、全企業の40%を占め、国際的に比較しても中小企業が多い国と言えます。
しかし、従業員が管理者と近い距離にいることで、業務に関する情報をよく共有することができると言われます。また、企業規模が小さいため、企業全体をよく理解し、帰属意識を高めることができると言われます。さらに、従業員数が少ないため、多様な業務に挑戦することもできると言われます。
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ニュージーランドの雇用条件
次に、ニュージーランドにおける雇用条件をご紹介します。
ニュージーランドの最低時給
まず、ニュージーランドの最低時給は、18.90NZD(2020年)です。これは、1NZD=70JPYとして、1323円です。2015年に14.75ドルだった最低時給ですが、2021年に最低時給20ドル(1400円)とすることが、数年前から政策目標とされてきました。この5年で、最低時給が4.15ドル(290円)上がりました。
ニュージーランドの勤務時間
また、ニュージーランドにおいて、労働者は、勤務中に、有給の休息時間と無給の休息時間(飲食時間)を取得できます。これは、労働者の安全性と生産性を担保するために必要だとされています。例えば、4時間以内の勤務であれば、最低10分の有給休憩時間1回を取得することができます。10時間以内の勤務であれば、最低10分の有給休憩時間2回と、最低30分の無給休息時間1回を取得することができます。
ニュージーランドの有給休暇
また、ニュージーランドにおいて、有給休暇として、労働者に、年次休暇、祝日または代替休暇、病気休暇、忌引休暇と家庭内暴力休暇が与えられることが、祝日法で定められています。
年次休暇は、12カ月継続して勤務するごとに、4週間与えられます。雇用主は、長期休業期間(例えば、年末年始の4週間)を設けて、その間に、雇用者に年次休暇を取得させることもできます。
祝日は、11日間あります。
- Christmas Day (25 December)
- Boxing Day (26 December)
- New Year’s Day and the day after (1 and 2 January)
- Waitangi Day (6 February)
- ANZAC Day (25 April),
- Good Friday and Easter Monday (dates vary)
- Queen’s Birthday (first Monday in June)
- Labour Day (fourth Monday in October)
- the relevant provincial Anniversary Day (date determined locally).
代替休暇は、祝日に勤務した場合に、その代わりとして与えられます。祝日に勤務した場合の賃金は、通常の1.5倍支払われます。
病気休暇は、6カ月継続勤務すると5日、その後は、12カ月継続勤務する毎に5日間与えられます。最大20日間繰り越せますが、取得しなかった分が退職金として加算されることはありません。
忌引き休暇や家庭内暴力休暇は、12カ月継続勤務すると与えられます。
ニュージーランドの労働組合
ニュージーランドにおいて、労働者は労働組合加入を選択することができ、労働組合は加入労働者のために労働協約締結をすることができます。
まとめ
ニュージーランドの働き方は、
- 日本と同様に、中小企業の割合が多いが、企業平均従業員数は日本より少ない
- 日本と同様に、職場の健康安全管理や、ワーク・ライフ・バランスを保つ柔軟な働き方が、法律で整備されている
- 日本と同様に、休憩・休息や労働組合加入が法律で認められているが、最低賃金は日本より高く、取得可能な有給休暇は日本より多い
といった特徴があります。
ニュージーランド移住の記事を、ご覧ください。
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