フリーランスとして活動する際は、著作権の知識は自分自身を守るために重要です。そこで本記事では、著作権の基礎知識や契約書の注意点、トラブル回避の方法などを解説します。
フリーランスが把握すべき著作権の基礎知識

フリーランスが制作した成果物には、著作権が発生する場合があります。著作権の定義や著作者人格権との違いなどを理解することは、契約内容を有利にする上で欠かせません。
著作権とは何か?定義と対象
著作権とは、創作物を制作した者が持つ権利です。文章や画像、音楽、映像などの幅広い創作物が、著作権の対象となります。
- 文章(記事・ブログ・書籍など)
- 画像(写真・イラスト)
- 音楽(作曲・歌詞)
- 映像(動画・映画)
※参照元:e-GOV法令検索「著作権法」(第2条)(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048)
著作者と著作権者の違い
著作者は作品を創作した人物で、著作権者は著作権を保有する人物です。契約内容によっては制作した本人ではなく、依頼主が著作権者となります。
- 制作者から制作会社に著作権を譲渡する
- 制作者が著作権を保有し、制作会社に利用許諾契約を結ぶ
※参照元:e-GOV法令検索「著作権法」(第2条)(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048)
著作権と著作者人格権の違い
著作権は作品を利用・販売する権利で、著作者人格権は作者の意思や名誉を守る権利です。著作権は譲渡可能ですが、著作者人格権は譲渡できません。
- 著作権:販売権や翻案権
- 著作者人格権:氏名表示権や同一性保持権
※参照元:e-GOV法令検索「著作権法」(第18-28条)(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048)
著作権の発生と保護期間
著作権は作品を創作した瞬間に自動的に発生し、申請不要です。保護期間は、原則として著作者の死後70年までです。
※参照元:e-GOV法令検索「著作権法」(第51条)(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048)
フリーランスが著作権を譲渡・保持する業務

創作物の著作権を「フリーランスが保有するか」「依頼主に譲渡するか」は、業務委託の契約条件によって決まります。
著作権を譲渡する業務
Webサイト制作や広告デザインなどの完成物を依頼主が自由に使う契約条件では、フリーランスに著作権の譲渡が求められます。
- 企業ロゴ
- Webバナー広告
- 冊子デザイン
著作権を保持できる業務
記事執筆や写真撮影などの利用許諾だけを与える契約条件では、フリーランスが著作権を保持できます。
- 雑誌記事の寄稿
- 写真素材の提供
- 著作権を保持した作品の二次利用許諾
フリーランスが著作権のトラブルを避けるために重要な業務委託契約書

業務委託契約書は、フリーランスが著作権のトラブルを避けるために重要です。著作権の帰属・譲渡や利用許諾の範囲などを明記し、契約後の紛争を防ぐ必要があります。
業務委託契約書に記載すべき著作権関連の条項
業務委託契約書には、著作権の譲渡や利用許諾の範囲、二次利用の可否などを明確に記載しましょう。
- 著作権の譲渡
- 利用する期間と媒体
- クレジット表記の形式
著作権の譲渡と利用許諾(ライセンス)の明記
著作権の譲渡と利用許諾では、フリーランスの権利が大きく変わります。曖昧な契約条件は、トラブルの原因です。
- 著作権の譲渡:フリーランスから依頼主へ権利が移る
- 著作権の利用許諾(ライセンス):使用する許可だけを与える
著作権の二次利用・再利用の範囲
二次利用に関する取り決めも、必須です。別媒体や広告に流用される場合は、利用範囲や追加料金を契約条件に盛り込みましょう。
- 再販・複製の可否
- 追加料金の金額
フリーランスが著作権を守るための対策方法

フリーランスが自分自身の著作物を守るには、業務委託契約時の確認や証拠保全などが大切です。トラブル時の対応策も把握しておきましょう。
業務委託契約条件の交渉
報酬だけでなく、著作権の扱いも交渉の対象です。著作権の譲渡ではなく、ライセンスに変更するなど、自分の権利を守る工夫を検討してください。
- 利用範囲の限定
- 追加利用の報酬
著作権の登録・証拠保全
万が一の紛争に備え、創作物の制作日付やデータを保存しておきましょう。タイムスタンプやクラウドの利用も有効です。
著作権を侵害された際の対処法
著作権侵害が発覚した場合は、まず証拠を収集し弁護士や専門機関に相談しましょう。権利侵害の状況によっては、内容証明による警告や訴訟などを検討することが必要です。
フリーランスが著作権を侵害しないための注意点

フリーランスとして他人の著作物を利用する場合は、著作権法を遵守することが重要です。無断使用は、法的トラブルを招きます。
引用と無断使用の違いとルール
創作物の引用は著作権法で認められていますが、要件を満たす必要があります。
- 出典を明記する
- 創作物を部分的に引用する
- 引用が大半を締めない
※参照元:e-GOV法令検索「著作権法」(第32条)(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048)
フリー素材や有料素材を使用するリスク
フリー素材や有料素材には、一般的にライセンス規約が設定されています。商用利用禁止の素材を無断で使うと、著作権侵害を問われてしまうのです。
- 利用条件を必ず確認する
- クレジット表記の条件を守る
SNS・Webの著作権侵害事例
SNSへの画像転載やWebサイト上での動画の無断利用などは、著作権侵害に当たります。著作権者の許諾がない場合は、削除要請や損害賠償の対象になるため注意してください。
フリーランスとして著作権を侵害しないように気をつけよう
著作権の基礎知識を把握し、契約条件や利用ルールを守ることで、フリーランスの権利を守れます。定期的な確認や知識のアップデートも重要です。

